2014年の暮れ、大正~昭和~平成を生き抜いた本家先代4・7代目染野屋半次郎こと染野青市は96でその長い人生の幕を閉じた。私は、1998年の義父の他界により当時分家だった染野豆腐店を継ぎ、先代不在でこの業界に入った。のちに本家の後継者不在から両家は70年ぶりに統合され、私は幸いにして「先代」を得ることになった。
「先代」からは彼の生きぬいた96年の人生と150年に渡るこの店の歴史をこの10年で教わった。数ある教えの中で、一番私の心に響き続けていることは「先人達の心の美しさ」だ。
先代はいつもの会話でよく「ご先祖」という言葉を用いていた。
「ご先祖に感謝だな…。」「このままじゃご先祖に顔向けできないな…。」
以前の私があまり考えたことのないキーワードに当初少し抵抗を覚えながらも、なんとも言えない人間の美しさ、私流に表現するならば江戸の和合精神が確かにそこに存在した。
そしてその「親友」の様な幕の閉じ方をしたいと思った。
2014年の夏に本家の商号である「半次郎(創業者の名)」と分家の「染野屋」という商号を合わせた「染野屋半次郎」の襲名を承り、それを見届けて先代は息を引き取った。
「悔いはないよ、、、後はまかせたよ、、、」
あまり一般には知られていない事だが、江戸時代初期に日本は森林伐採を中心とする環境破壊で文明崩壊の危機にさらされていたという。その危機を幕府・市民一体となって約2世紀かけて植林やリサイクルによって回避し、今でも世界を魅了する江戸の華やかな文化を築き上げた。「神」がくださった自然の恵みをバランス良く利用しながら江戸時代の日本3,000万人の国民を豊かにさせたのが、江戸の和合精神だと私は考えている。
そして江戸の終焉から150年経った現代はご存知の通り世界は環境破壊の真っ只中にいる。日本も例外なく環境破壊優等生となってしまっている。
我々がこの世紀、どんな夢に替えても叶えなければならない事がある。
「持続可能な社会の確立」だと私は考える。
「先祖」として子孫や次世代の世界の人々にバトンタッチする前に、行き過ぎたこの「一方通行の資源消費型社会」を是正すること。それが私がこの仕事に人生をかけている理由であるし、我々染野屋半次郎スタッフのモチベーションである。
江戸時代の精神の中にその生業を発し、それを継承している我々がすべきことはまだまだ沢山ある。
株式会社 染野屋
代表取締役社長 兼 CEO(最高経営責任者)
八代目 八代目染野屋半次郎/小野篤人
私達は、江戸時代から続く老舗豆富製造メーカーとして受継がれた伝統を守るともに、健康食である豆富を通じて食の大切さを伝えていきたいと考えております。その為にも真面目にお豆富造りに励み、食べて安心できるおいしい製品をお客様へお届けできるよう、日々邁進してまいります。
私達、染野屋スタッフは代々守られてきた伝統ある豆富屋スタッフでいることにプライドを持ち、一人でも多くの人々にお届けする事を最大の使命とし、お客様に愛されるような会社にする為、日々精進して参ります。